今日は2000年12月30日、ということは明日は今世紀最後の日である。 つまり、明日の日の出は20世紀最後の日の出ということだ。 そこで、今日の夜に武蔵野市を出発して名栗湖まで行き、明日の朝の日の出を見ようというのが今回の企画だ。
この寒いのに山で一夜を過ごすという無茶をやってみたかった。 21世紀最初の日の出ではなく、あえて20世紀最後の日の出を見たかった。 風邪をひいて38度の熱があるからこそバカをしたかった。 そう、イベントタイトルは『おバカツアー2000』である。
23時に武蔵野市を出発、青梅街道で青梅市に向かう。 装備はもちろん極寒装備で、セーターも着込んでいる。
日が変わり1時、青梅市のIHOPで腹ごしらえする。 初めてのIHOPだが、なかなか美味しい(後日追記 : これが最初で最後のIHOPとなった)。
食事を終え名栗湖へ向けて出発する。 しかし、しばらく走ったところで吉岡のファミリーサイクルがパンク。 ファミリーサイクルで峠を越えてこそ『おバカツアー』なのだがパンクを修理する時間はない。
そこで近くの金子邸へ向かうことにする。 これから越える吹上峠と小沢峠および名栗湖の坂は激坂でありファミリーサイクルで越えるのは困難なので、吉岡は金子のロードバイクを借りることになったのだ。 吉岡のロードバイクへの乗り換えを終えてり金子邸を出発する。 吹上トンネルを越えて吹上峠に入り、峠の直前で右折し、松ノ木トンネルを抜けて成木へ向かう。
成木街道に合流、左折してしばらく走ると目の前には小沢峠が現れる。 小沢峠を登り小沢トンネル前でしばしの休息をとる。
小沢トンネルを抜け名栗村側へ下っていく。 寒くて寒くて速度を上げることができない。 寒さで凍えそうだ。
名栗村まで下りしばらく走ると自動販売機を発見、寒くて耐えられないので暖をとる。 自販機の脇に温泉宿の看板がある。 『泊まりたい』、心からそう思う。 名栗村のメインストリートを抜け、名栗湖へ向かう分かれ道へ入る。 激坂の少し手前に休憩所らしきものを発見したので寒さをしのぐことにする。
この休憩所は壁が少ないためそれほど暖かくはないが、それでも名栗湖よりはマシだろう。 それに、この時期の日の出の時間は調べていない。 標高の高いこの場所で太陽が見える時間もわからない。 そこで、午前5時までここで休憩し、それから名栗湖へ登ることにする。
休憩を終えて名栗湖へと登るが、辺りはまだまだ真っ暗である。 筆者は熱で放心状態になっており、うつろな表情でマットの上で正座している。 そして心の中でこうつぶやいていた『来なきゃ良かった』と。
湯を沸かしてカップメンを食べ、暖かいコーヒーを飲んで、筆者も少し復活。 周囲も徐々に明るくなってきている。
吉岡はコサックダンス、筆者はペダリングで体を温める。 辺りはすっかり明るくなったが、まだ日の出は見えない。 時計を見ると...もう8時を過ぎている。 視線を上に向けると雲の中になにやら明るいものが見える。 よーく見ると、太陽だ。
さすが『おバカツアー』、とっくに太陽は昇っている。