まずは、ロードバイクの変速方法について説明します。
SHIMANOのコンポーネントである場合は、ハンドルについている『STIレバー』でブレーキ操作と変速操作の両方を行います。 この構造により、ハンドルから手を離すことなく変速操作を行うことができます。
STIレバーは、右手側レバーも左手側レバーも二重構造になっており、大レバーの内側に小レバーが沿うように配置されています。
右手側レバーは、前輪ブレーキとリアディレイラ(後変速機)に対応しています。 左手側レバーは、後輪ブレーキとフロントディレイラ(前変速機)に対応しています。
STIレバーで、ブレーキ操作と変速操作の両方を行います。
シフトアップ操作とはギア比が重くなる操作、つまり、もっと速度を出すためのシフト操作のことです。
リア用(右手側)は、小レバーを内側に倒すとシフトアップ操作になります。
シフトダウン操作とはギア比が軽くなる操作、つまり、登坂などで力を出すためのシフト操作のことです。
リア用(右手側)は、大レバーを後方ではなく内側に倒すとシフトダウン操作になります。
リアディレイラは、一度の操作で最大で3段階のシフトダウンをすることができます。 大レバーを、カチッ・カチッ・カチッと、限界まで内側に倒しこむことで、一気に3段階のシフトダウンができます。
『カチッ・カチッ』で大レバーを戻せば2段階になり、『カチッ』で大レバーを戻せば1段階の変速になります。
フロントディレイラでは、1段階のシフトアップ/シフトダウンは、ギア1枚分の変速には対応していません。 つまり、1段階の操作では中途半端な位置にチェーンが移動してしまいギアが上手く入らないことがあるのです。
そのような仕様になっている理由は、1つ目はチェーンラインと呼ばれるものに関係して、2つ目はコンポーネントによってはダブルとトリプルでSTIレバーが共用になっているためです。
チェーンラインとは、文字通りチェーンが作る線のことです。 ロードバイクでは、チェーンが左右に動いて変速します。 そのため、上から見てチェーンが常に真っ直ぐな状態にあるわけではありません。
チェーンラインが真っ直ぐではなく斜めになっていると、チェーンの位置によっては、チェーンとフロントディレイラのチェーンガイド(チェーンを動かすための枠)が接触します。 チェーンがチェーンガイドに接触すると、当然音が出ますが、これを『音鳴り』といいます。
フロントディレイラの変速でチェーンが不思議な位置にくるのは、この『接触』を解消するための調整が必要になるからです。 具体的には、音鳴りが発生したら、フリーホイール側(後ギア)がトップ(一番外)側にあるかロー(一番内)側にあるかによって適切な位置に調整を行います。 ちなみに、SHIMANOではこの音鳴り防止の調整の仕組みのことを『トリム機構』と呼んでいます。
2つ目の理由は、コンポーネントによってはSTIレバーがダブルとトリプルで共用になっているためです。
ダブルとトリプルとでSTIレバーが共用されているということは、ダブルには存在しない中ギアの位置にもチェーンが移動できるということです。
つまり、ダブルとトリプルで共用のSTIレバーが搭載されている車体では、カチッ・カチッと2段階のシフトアップをしなければギアがインナー(小ギア)からアウタ(大ギア)に移動しないことになります。
具体的にダブルとトリプルでSTIレバーが共用されているのは、105とTIAGRAです(なぜかSORAはダブルとトリプルで別製品となっています)。
ちょっとわかり難いフロントディレイラの変速操作ですが、あまり難しいことは考えずに、音鳴りしないように変速すればいい話です。
なお、フロントディレイラの操作を行うようになるのはロードバイクに乗り始めてしばらく経ってからのことだと思います。 なぜなら、チェーンリング(前ギア)のアウタ(大ギア)は35km/hを越えない限り使用することがないからです。